なりっしーの「それ行け!中高年!」

アクティブな中高年を目指して

なりっしーの遭難記録(救助要請なし) 全3話 その3完結編

こんにちはー 中高年のなりっしーです。

あまりにも心地よく鎌ヶ岳山頂で寝過ごしてしまい、超焦って下山中です。

 

narisshiblog.hatenablog.com

 

アクシデントは突然に!

岳峠からカズラ谷分岐を雲母峰方面へ向かいます。まぶしかった日差しもだいぶ傾き、タイムリミットは刻一刻と近づき、益々焦ってきます。

少し小走りぐらいのペースで痩せ尾根を下っていくとザラザラした白ハゲに出ます。

崩れそうな岩があるザレ場

写真にもあるようにあちこちに足跡があり、何の疑いもなくそのまま激下って行きます。完全なコースアウトですが足跡があるので全く気が付きません。

あまりにも急斜面の下りで、一瞬『あれっ?こんなに急だったっけ?』と思うも、足跡は続いているので下り続ける。実はその足跡は丸く小さく、人の足跡ではありませんでした。(カモシカかな?)

突然、もうこれ以上は下れないと思う程のザレ場の崖まで下りてきて、ようやく道迷いを認識。おそいわーー!

この時点で17:00前。改めて周りを見ると、目の前は崖、崖の下には沢が見える。左はザラザラの急斜面、右側はうっそうとした樹林帯。目指す雲母峰方面は樹林帯の奥にそびえ立っている。地図で確認するも自分の居場所にイマイチ自身が持てない。

『あぁーーーー! やっちまったーーーっ!』

時間の焦りと、道迷いからくる恐怖心でパニック状態。冷静な判断ができず、この期に及んで『このまま進んで樹林帯を登ったら雲母峰まで最短じゃないか?』とか、『沢に出たら最悪、水は確保できるな』とか馬鹿な考えが浮かんでくる。

中高年でスマホ事情に詳しくなく、地図アプリなんかインストールしてない。普通のマップは出るが登山道の表示なく真っ白。もう頭も真っ白。

とりあえず遭難決定ということで嫁さんに電話してみるも、何回かけても出ない。バッテリーも少なくなり、崖の上で座り込んでしまう。はぁーこの先どうしよう・・・。

一度座って休憩したのが良かったのか、少し冷静さを取り戻す。

ルートミスのコースマップ

どうやら青矢印の方向に迷い込んだと思われる。

道に迷ったら戻れ!

17:30ごろ、薄暗いがまだ見える。結局できる限り戻って正規ルートに出ようと結論。最悪は鎌ヶ岳まで戻って、武平峠まで下りて鈴鹿スカイラインでタクシーでも呼ぶか?などと考えながら急斜面を登ります。しかしこのザレ場が半端ない。一歩踏み出すと滑って半歩下がってしまう。まるで『3歩進んで2歩下がる』じゃねーか!

もう心臓バクバク、ヒーヒー言いながら上り詰めるとあっけなく正規ルートが見つかった。痩せ尾根の入口のところで、開けていたのでそのままザレ場を直進してしまったらしい。

『動き回るな』が遭難時の鉄則だと思うが、正規ルートに戻れたことと、薄暗いが周りがまだ見えることも重なり、スケベ心が出てしまう。よし!このまま下山するぞ。

改めて下山開始

痩せ尾根を下り、ネット情報の雲母と鎌の縦走路での不明瞭箇所に来た。赤テープを見落とさないように慎重に進むと、何か視線を感じてピタっと止まる。何だろうと思って樹林帯に目を凝らす。視線の正体はシカの群れ。7~8頭ぐらいだろうか、向こうも何だコイツって感じで動かない。動かないシカってこんなに怖いのか・・・。

目をそらさず、2~3歩進むと枝を踏んで折れた。

『パキッ』といった瞬間、『ケーーーン!!』と一斉に走り出し、藪に消えた。

あー怖かった。これがサルやイノシシだったらただじゃ済まなかったな。もうとっぷりと日も暮れて、野獣たちの時間帯に突入ですね。今のうちにヘッドライト装着。

万が一の連絡手段のためにスマホの電源は切っておこう。(後々これが波紋を呼ぶ)水分補給して出発。

最後の力を振り絞り・・・

もう辺りは真っ暗。山の中でこれほど暗闇が恐怖に感じたことはない。精神的にも肉体的にも疲労困憊。ちょっとしたアップダウンですぐ息切れ、足はガクガク。

ヘッドライトの灯りだけで進むのも大変だ。木の根に引っ掛かり転倒してしまうが、もう泥を払う気力もない。ケガをしなかったのが救いだ。

何とか雲母Ⅱ峰までたどり着くと、遠くに市街地の夜景が見える。やっとここまで来たかと街の灯りにパワーをもらう。この先も気が抜けない痩せ尾根があったなと思いながら恐る恐る進んで行く。

そしてついに九十九折のスギ林に入る。残りあとわずかとなり多少力が戻る。最後の水分補強をして呼吸を整え、ジグザグに下りて行く。

やっと、やっとのことで無事に駐車場に到着した。時刻は19:30ぐらい。完全に遭難レベル。その場でへたり込み、スマホの電源を入れ、嫁さんに下山完了連絡をする。

『何やっとったのー! 何回電話しても出んし! 何かあったかと思ったがね!』

あ、そうだった。着信だけ残して電源切ってたんだった。ごめん。心配かけちゃったね。

家についてご飯を食べ、風呂入って寝る。ベッドに入って目を閉じると今日一日の出来事が思い出される。改めてふかふかの布団で寝れる幸せを感じる。

そして、こう思う

昼寝するなら、アラームを!!

 

ではまた。